2025.01.14 ビジネススーツ セットアップ
スーツは、長い歴史を持つフォーマルウェアであり、ヨーロッパ貴族や軍服の影響を受けながら進化してきました。ここでは、スーツの誕生から現代に至るまでの変遷を紐解き、その成り立ちと発展を探ります。
スーツのルーツは、17世紀のヨーロッパに遡ります。当時の貴族社会では、華やかな宮廷服が一般的でした。フランスのルイ14世の宮廷では、刺繍や装飾が施された華麗なコート(ローブ)とタイツが主流でした。
イギリスでは、17世紀後半になるとフランス式の華美な装飾を避け、シンプルで実用的な服装が広がりました。この時期に、「クラバット」(現在のネクタイの原型)が登場し、ジャケットの原型となる「ジャストコール」が生まれました。
18世紀には、「フロックコート」と呼ばれる膝丈のジャケットが流行しました。これは、軍服の影響を受けており、シンプルなカットとウエストのシェイプが特徴です。これが、後のスーツのシルエットの基礎となりました。
19世紀に入ると、夜会用の「燕尾服」と昼間用の「モーニングコート」が生まれ、紳士の服装はより機能的に進化しました。これらは、後のフォーマルスーツの原型となっています。
ヴィクトリア朝時代(19世紀後半)には、現在のスーツの原型である「ラウンジスーツ」が誕生しました。これは、フロックコートよりも短い丈のジャケットとスラックスのセットで、日常的なビジネスウェアとして普及しました。
1920年代には、テーラード技術が向上し、体にフィットするスーツが登場しました。特に、ロンドンの「サヴィル・ロウ(Savile Row)」で仕立てられたスーツは、高品質な紳士服として確立されました。
戦時中は資材の節約が求められ、スーツもシンプルなデザインに。戦後にはアメリカ式のゆったりした「アメリカン・スーツ」が流行しました。
1960年代には、ビートルズの影響で細身の「モッズスーツ」が流行。1970年代にはカジュアル化が進み、ダブルブレストのスーツが登場しました。
1980年代は、「パワースーツ」と呼ばれる肩パッドが入ったワイドなスーツが流行。90年代にはシンプルなデザインに回帰し、スリムなスーツが主流となりました。
2000年代には、再びクラシックなスーツが流行し、イギリスのサヴィル・ロウやイタリアのオーダーメイドスーツが注目されました。
2010年代には、ビジネスウェアのカジュアル化が進み、「ジャケパン」やセットアップスーツが広がりました。特にテレワークの普及により、軽量でストレッチ性のあるスーツが求められるようになりました。
現在では、環境に配慮した「サステナブルスーツ」や、防シワ・ストレッチ性を重視した「機能性スーツ」が主流となりつつあります。
スーツは、17世紀の宮廷服から始まり、軍服の影響を受けながら発展し、現代のビジネスウェアへと進化しました。以下のポイントを押さえることで、より深くスーツの魅力を理解できます。
ヨーロッパ貴族の華美な服装がシンプル化し、ジャケットの原型が誕生
18~19世紀には軍服の影響を受け、機能性を重視したスーツに進化
20世紀にはビジネスウェアとして普及し、テーラード技術が向上
21世紀にはカジュアル化が進み、多様なスーツスタイルが登場
現在のスーツは、歴史的背景とともに発展し、時代に合わせて変化を続けています。フォーマルからカジュアルまで、目的に応じたスーツ選びを意識することで、自分に最適なスタイルを見つけることができるでしょう。