テーラーが語るオーダースーツのデメリット

2024.03.24 ビジネススーツ

テーラーが語るオーダースーツのデメリット

生地×デザイン×シルエット(サイズ感)の選択肢や組み合わせは無限大で、間違いなく自分だけの1着をつくることが出来るオーダースーツ。

 

そんなオーダースーツですが、多くのメリットがある反面、デメリットもあります。

そこで今回は、テーラー目線で「オーダースーツのデメリット」をご説明させていただきたいと思います。

目次

生地の種類が多すぎて自分に似合うモノが分からないと苦痛かも

オーダースーツは、生地、付属、デザイン、シルエット感まで自分好みで選択することが出来ますが、初めてオーダーされる場合、生地の種類に驚かれる方が多いと思います。


お店にもよりますが、数百~数千種類は一般的に用意されています。

国産はもちろん、イタリア、イギリス、ベルギーなどのインポート生地の、無地、ストライプ、チェック、織柄、、、。

 

例えば、一見同じに見える「紺色のストライプ」でも、国によって染色や糸番手の特性が違うので近くで見て触ると全く別生地なんです。

沢山の生地を見ているだけであっという間に時間が過ぎていってしまいます。

 

「ダークネイビーのこれくらいのストライプ柄が着たい」というイメージをお持ちの場合は、既製品を何件も回って探すよりも、オーダースーツ店で生地から探す方が効率的で、イメージ通りの生地を見つけられると思います。

 

洋服が好きな方、スーツスタイルの理想像をお持ちの方にとっては天国!

ですが、自分はどんなスーツが似合うのか分からない、どの生地を選べば良いか分からない、という場合には、数百~数千種類の生地の選択肢の多さは苦痛化かも知れません。


漠然と生地を次々見ていたなら、1日かかっても決められない可能性は大です。

 

 

 

 

 

対処法

膨大にある生地を目の前にして苦痛を感じずに自分の理想スーツをつくるためのご提案としては、何か『一つ』でも選ぶポイントを決めておくことです。

 

例えば、色とか柄とかでも良いですし、柔らかい雰囲気に見られたい、取引先から信頼されたい、などでも良いと思います。

そういうポイントも思いつかない場合は、お店のスタッフと沢山話をして下さい。

 

自分はどういう仕事をしていて、どういうポジション(役職)で、部下は何歳くらいが多くて、基本的には会社の中での内勤仕事だが月に3~4回くらいは得意先に赴いて、、、など、スーツを着る日々のことを徒然お話下さい。

 

オーダースーツ店のスタッフなら、お客様のお話をしっかり聞いて、このお客様ならこういうスーツが相応しい、だったらこういう生地が良いのではないか、真剣に考えます。

 

 

そして、お客様の仕事の成功はどんな生地なら実現できるか、提案してくれるはずです。

 

 

 

 

出来上がりまでに時間が掛かる

生地を選び、デザインを決めて採寸したらオーダースタートです。

大量生産のマシンで一気につくり上げる訳ではなく、1着づつパターンを見て生地を裁断してしつけして縫製して、、、と進められるので、すぐには出来上がりません。

 

出来上がりまでは楽しみに待つことしか出来ません。

出来上がるまでの納期はオーダースーツ店にもよりますが、簡易的なパターンオーダーなら2週間~4週間くらい、補正の多いイージーオーダーの場合は4週間~8週間、という期間が一般的でしょうか。

 

「今週末着たい!」というお急ぎの場合は、オーダーでは間に合いませんので、お持ちのスーツか、既製品を購入しなければいけません

 

 

 

 

対処法

オーダースーツは出来上がるまで時間がかかりますので、ご着用予定が分かったら早めにオーダースーツ店にご相談ください。

 

どのお店も、お店に行って相談したからといって、その場ですぐにオーダーしなければいけないということはありませんので、まだはっきりオーダーするか決めていない場合でも、お店に行って相談することをおススメします。

出来上がるまでわからない

出来上がりスーツを見て選ぶ既製品と違って、オーダースーツは生地を選んで一からつくるもの。

 

よって、自分が選んだ生地でどんな仕上がりのスーツになるのか、想像しにくいと思います。

 

特に、オーダーが初めての方だと難しいでしょう。

サイズ感に関しても、2回目3回目だと安心感がありますが、最初のオーダーですと自分のイメージ通りのシルエットになるか、仕上がって着てみないと分かりません。

 

 

 

 

対処法

オーダースーツは仕上がって完成品を見て、着てみるまで分かりません。

 

その想像&創造がオーダーの醍醐味でもありますが、初めての方は不安も感じられるかも知れません。

やはりお店のスタッフ(フィッター)との対話が重要となります。

 

ご自身とスタッフ両者で、仕上がりイメージ共有することが大切ですので、ぜひ沢山話をして下さい。

お店によって完成度が違う

オーダースーツ店は沢山存在しますが、どのお店でつくるかで仕上がりスーツは違ってきます。

A店とB店で、同じ生地を置いている場合もあると思います。

 

ですが、全く同じ生地でオーダーしたとしても、A店の出来上がりスーツと、B店の出来上がりスーツとでは、確実に別物のスーツとなります。

何故でしょう。

 

本当に不思議なことなんですが、同じ材料を使っても、そのプロセス、つくる人間の想い/考えなどが違うからでしょうか、違うスーツになってくるのです。

 

このようなことは、オーダースーツだけでなく、他のことにもありますね。

 

例えば、お寿司屋さんでは、一流職人と新人さんでは、同じ大間の本マグロをつかって握っても、違うお寿司になります。

どちらも大間の本マグロだから味は美味しいとは思いますが、大間の本マグロを味わうのであれば、わざわざ寿司に握る必要は無い訳で、刺身として食したら良いですよね。

 

食したいのは「大間の本マグロのお寿司」ですから、お寿司として最高のモノを求めているのです。

 

 

 

 

対処法

お寿司屋さんの例をオーダースーツの話に戻すと、最高峰の英国生地でスーツを仕立てる場合、最高峰の生地が欲しい訳ではなく、最高峰の生地でつくったスーツが欲しいのです。

満足出来るオーダースーツを手に入れるためには、どのオーダースーツ店でオーダーするかが重要になってきます。

 

そのお店の取組みやスタッフの熟練経験値はもちろんですが、お店の雰囲気が嫌ではないかとか、スタッフとのフィーリング(相性)も結構重要だったりします。

ぜひ、ご自身の行動範囲内に複数件のオーダースーツ店がある場合は、下見として複数件行ってみて、お店の雰囲気を見てスタッフと話して「ここでつくりたい」と思ったお店を見つけてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

 

オーダースーツには多くのメリットがあるのは当然ですが、デメリットもあります。

 

ですが事前にデメリットをきちんと理解しておくことで、その対処法を考えることが出来ます。

自分が生地を選択して、テーラーのフィッターが自分を採寸して、職人が自分のために生地を裁断して縫製をしていく・・・。

お店で貴重なオーダー時間を過ごし、自宅で出来上がりを愉しみに待ち、仕上がったスーツに袖を通し、装って自信を持って人に会いに行く・・・。

オーダースーツには、デメリットをはるかに上回るメリットがあると思われませんか?

 

ぜひ多くの方にお愉しみいただきたいと思います。

服を福につなげる仕立て屋〟として

 

洋服を通じて人生を楽しく豊かにする

 

それがオーダースーツ店「ロードハウス」の想いです。

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