スーツのクリーニングはどうしたらいいのか?

2022.06.06 ビジネススーツ ジャケット スラックス

スーツのクリーニングはどうしたらいいのか?

気に入っているスーツを大切にしたいと考えられている方も多いと思います。

「メンテナンスの意味も兼ねて、こまめにクリーニングに出す方がいいのではないのか」

と考えている方もいるのではないでしょうか。

しかし、それは必ずしも正しいお手入れ方法ではないかもしれません。

今回は、クリーニングの出し方やスーツとの付き合い方、注意点について解説していきます。

目次

クリーニングに出すタイミングや頻度は?

クリーニングのタイミングと頻度のお話から。

普段、着用しているスーツの定期的なクリーニングのおすすめとしは、夏物(夏素材)、冬物(冬素材)、では各シーズンの終わりの1年に1度だけ。

通年物(オールシーズン素材)では各シーズンの終わりの1年に2度が適当な頻度です。

 

 

スーツはウールなどの天然素材を使用している場合が多く生地その物に適度な油分が含まれおり、この油分が柔らかでしなやかな風合いと光沢感をだしています。

 

クリーニングを重ねると、汚れと共に天然の油分も流れ出てしまい、生地を固く、そして光沢感も少しずつ失われてしまいます。

ですので、本来のスーツの品質を保つ為には、頻繁なクリーニングはかえって逆効果になる事もあります。

 

食品汚れが付着してしまった時などの汚れが酷い時などを除き、クリーニングの頻度は最低限に留めましょう。

 

しかし、クリーニングを出さずにシーズンを越してしまうと、気付かない食品汚れや汗汚れを元に変色や虫食いなどのトラブルの原因になりますので、シーズンの終わりにはクリーニングに出すようにしましょう。

 

汚れの種類と予防策

頻繁には出せないクリーニングが分かった所で、

スーツに汚れを残りにくくする為の汚れの予防策を覚えておきましょう。

衣類の汚れは大きく分けて分類すると体から出る汚れと、生活環境における外的要素による汚れの2つに分類されます。

体から出る汚れ
【皮脂汚れ】

皮脂汚れは、誰もが目にしたことのあるエリや袖口等によく見られる最もガンコで落とし難い汚れです。

そもそも皮脂とは人体の皮脂腺から分泌されるもので、成分としては中性脂肪と脂肪酸が中心になり、皮膚の表面に脂肪膜をつくることで皮膚を保護する役割を持つ体にとっては大切な役割を持っています。

どうして、人を守る為に大切な役割を持っている皮脂が衣類に付くとガンコな汚れとなってしまうかと言うと、皮脂には他の汚れを自分にくっつけて、体内への侵入を防ぐバリア効果を持っているからです。

つまり皮脂が接着剤のような役割をしてしまうことで皮膚のアカや空気中のチリやホコリなど色々な物が交じり合い、とても落とすのが難しい汚れに変化しまうのです。

【汗の汚れ】

汗そのものは無色透明で無臭ですので、汚した時点では気づきにくいのですが、汗は衣類に付いてしまうと汗と一緒に分泌される皮脂の中にある脂質成分が空気中の酸素によって酸化してしまい、時間の経過とともに細菌によって分解され臭いを放つようになります。

そして、汗の中にある水分が蒸発してしまうと、汗の中に含まれている「酸」・「アルカリ」・「塩」などが残ることで衣類を黄色く変色させたり、繊維そのものを弱くしたりしてしまうのです。

対策としては、頻繁にはクリーニング出せない、ジャケットのエリ、袖口に直接肌が触れない様に着る事が対策になります。

その為には、シャツをジャケットの衿腰から1cmから1.5cm、

袖口からも1cmから1.5cm、着用毎に洗濯できるシャツを覗かせる為に、ジャケットとシャツのサイズを選ぶ事が大切になります。

そして、少しでもジャケットなどに汗の浸透を防ぐ為に、特に暑くなりはじめでジャケットを羽織る季節にはYシャツの下に吸水性の高い下着を着用する事をおすすめします。

外的な生活環境の汚れ
【ちりやほこりの汚れ】

ほとんどの場合が目に見えないものなので日常の生活では気が付かないものですが空気中には目に見えない無数のちりやほこりが浮いています。これらは地面が乾燥して舞い上がった小さな粒子であったり、綿埃、車の排気ガスなどが少しずつ蓄積して、薄汚れた印象になり、非常に小さくて繊維の間に入り込み取れにくい汚れになります。

【食品などからの汚れ】

また、食品からの汚れは、食事の際に無意識に飛び散る食物や飲料、調味料など多数あります。成分も油性、たんぱく質、でんぷん質、色素などの混合汚れなどが主です。日常生活の中でシミとして意識されるのは、この食品によるものが最も多いと言えるでしょう。

ちり、食品による汚れには、着用後の対策が重要です。

一日着用していたスーツには目視による点検とブラッシングによる汚れ落としを行いましょう。

ブラッシングには、人の髪の毛のブラッシングと同じ効果が有り、チリやホコリを落とす以外に毛並みの向きを一定の方向に整える効果もあります。特にスーツ生地本来が持つ油分が減少すると繊維同士が絡まり、摩擦から起こる毛玉を押さえる事と合わせてウール本来の艶を維持する事にもつながります。

 

ブラッシングする際は、初めに全体を軽く叩き、ホコリを浮かせてからブラッシングします。

ジャケットは襟元から裾に向かって、ズボンも腰から裾に向かって一方方向に行います。毛並みを上から下に一定の向きに揃える事でチリやホコリが引っ掛かりにくくなります。

 

また、食品汚れが見つかった場合は、ぬるま湯と食器を洗うときと同じ中性の台所用洗剤が食品汚れには効果的です。

タオルにぬるま湯と中性台所用洗剤含ませ、衣類をゴシゴシとこするのではなく、トントンと軽く繊維から叩き出す様にすると、簡単に落とせる場合もありますので対応してみましょう。

ですが、スーツの色が薄い場合は、輪じみになる事もありますので、目立たない所で試すか、

専門のクリーニング店にお願いする様になります。

クリーニングに出す時の注意点

シーズンの終わりと、落としきれない汚れが気になる場合には、クリーニング店にお願いする事になります。

そして、クリーニングには2つの種類ありますので、大切なスーツの為に『ドライクリーニング』と『ウェットクリーニング』のそれぞれの特徴とメリットとデメリット理解して使い分けましょう。

ドライクリーニング

ウールなどのチジミやすい天然素材を使ったスーツなどの衣類には、有機溶剤で洗うドライクリーニングが一般的です。

 

メリットは、有機溶剤で洗う為、皮脂や口紅といった油汚れが取れることと、水を使わない為、素材のチジミによる型崩れがしにくいことがメリットです。

ですが一方で、生地の油分が落ちやすくスーツが固く艶が落ちてしまったり、汗汚れによる臭いや、お茶のシミなどといった水溶性の汚れが落ちなにくいというデメリットもあります。

ウェットクリーニング

水を使って汚れを落とすのがウェットクリーニングです。一般的なクリーニングとは異なり、水洗いでも型崩れさせない専門的で高度な知識・技術を持ったクリーニング専門店が取り扱うクリーニングです。

 

ドライクリーニングでは落としにくい汗汚れによるベトツキや臭い、水溶性の食べ物汚れを落とすのに向いており、サッパリとした洗い上がりがメリットになります。

 

デメリットとしては、高度な技術を必要とする専門店でしか取り扱いのないウェットクリーニングですので、コースとして取り扱いお店が少ない事と料金が高くなってしまう事がデメリットとなります。

 

まとめ

今回はスーツの適切なクリーニングの出し方や注意点について解説してきました。

スーツの汚れを確認して適切な対策やクリーニングを行う事で、スーツの長持ちに繋がります。

今一度、自分の大切なスーツを確認してみましょう。