2022.05.17
皆さんのスーツを選ぶ時の基準は何でしょうか?
色や素材感でのスーツ全体のイメージも大切ですが、スーツを選ぶ時の基準にはスーツの基本テイストの印象も大きく左右します。
そこで今回はスーツの成り立ちの基本、イギリス系とイタリア系スーツのルーツや背景を知ることで、スーツを着た時に人に与える印象をについて見ていきながら、スーツのより深い選び方をご紹介していきます。
スーツが人に与える印象を理解しておくことで、スーツを通して自己表現が可能になります。
ここでは、各国の国民性と気候から生まれる国民的アイデンティティと、そこから生まれるスーツのデザイン、そして、スーツデザインから放たれる印象を見ていきましょう。
イギリスは、古くからの貴族階級が定着しており「他者への礼節のために装う」という服の考え方があります。
分かりやすい言葉でいうと英国紳士的なイメージです。
その考え方がある為、イギリス発祥の服には、相手や着用シーンに合わせたドレスコードがあり、モーニングやタキシードをはじめ、ドレッシーでエレガントなテイストの服が多くあります。
その為、それらを着こなす上品で礼儀正しく、教養の高さも大切にしています。
また、伝統を重視する保守的な国民性でもあり、その為、長年の使用にも耐える耐久性も重視している点もイギリス的な考え方が反映されているといえます。
イギリスも日本と同様に周りを海に囲まれた島国です。
一年中にわたり曇りや雨の日も多く、湿気の高い気候です。
そんな気候の中でもスーツが型崩れしにくい素材を選ぶ為、湿気が高い気候でもヨレないように糸を太く厚みの有り、重く、しっかりと反発感と腰のある素材が採用される傾向にあります。
・湿度にも強い打ち込みのしっかりとした厚みのある重めの生地を使用している。
・型崩れを防ぐ目的もあり固い馬の毛を使った毛芯の使用した丈夫に仕立てるハードテーラリング。
・品格を保つ為、しっかり厚みのある肩パッドを備えたショルダーラインが特徴です。
誠実そう 品が良さそう 知的そう というポジティブな印象と、
冷たそう 堅そうというネガティブな印象が生まれます。
イタリアの南部を中心に古くからイギリスやフランスのスーツの下請けの生産地となっていたイタリアでは、
自分の仕立ての技術力の高さや、装いのセンスの良さで人目や異性の関心を引くという服の考え方があります。
その為、イタリア人の装いには、目に留まりやすい大胆に見える部分やどこかセクシーでエレガントをアピールできる服を好む傾向が有ります。
スーツ仕立ての本場、地中海南部を中心としたイタリアは、晴天が多く、比較的乾燥した気候です。
乾燥した気候の為、湿気で生地がヨレル事は少なく、薄く柔らかく、軽い通気性の良い素材が好まれます。暖かい気候も手伝い楽天的で、常に異性を意識し陽気に人生を楽しむ文化が強く根付いており、よりファッションを意識した色彩や、つい触りたくなる珍しい質感などが素材にも反映されています。
・シルエットや曲線の美しさを表現する為に、柔らかく伸縮性のある生地を使用している。
・生地の柔らかなドレープと光沢感を生かした立体感を表現する為のソフトテイラリング。
・肩周りの芯地などの副資材も少なくシャツやカーディガンのような軽い着心地が特徴です。
外交的で柔軟性がありセンスが良さそうというポジティブな印象と、
遊んでいそうというネガティブな印象が生まれます。
いかがでしたでしょうか?
あくまでも仕立てのテイストから与えられる印象ですが、スーツの持つ歴史や文化を知る事でより分かりやすくなるのではないでしょうか。
スーツのテイストが人に与える印象のメリットとデメリットを参考にして、自分が表現したい自分を作り上げましょう。
さらに最初のお話しで少し触れた、スーツ全体のイメージを決める色に置き換えると、ライトネイビー・ライトグレーは、華やかさ・親しみやすさがあり活動的なイメージに。
ダーク系のチャコールやダークネイビーの色味は、誠実・論理的で、知的・真面目なイメージになります。
全体のイメージの部分は、選ぶスーツの柄によっても変化していきますので、こちらも、まずは見られたい姿を軸に考えると良いでしょう。
コチラで詳しくスーツの色の違いについては説明しています。
そのスーツの色は大丈夫??スーツのカラーマナー
今回は、スーツの選び方について解説してきましたが、冒頭でもお伝えしたように、イギリスやイタリアの服の考え方は、今のファッションアイテム全てに影響を与えています。カジュアルな服装を選ぶ際にもイメージしてみるのも良いかも知れません。