今回は、名古屋での買い付けの模様をご覧いただきます。 私達は、岡山から電車を乗り継いで約3時間、世界3大毛織物の一つ尾州の葛利毛織さんに店長河内と私、バイヤー山内がやって来ました。 何より写真が気になったかもしれませんが、仕事で名古屋に来ていますので、金のシャチホコすら見れておりません。 生地の買い付け以外の楽しみはご当地食がメインでして・・・。 名物のエビフライの写真でお願いします。

本業のお話へ。 テーラーが通常生地を買う際はバンチブックという店頭でよく目にする生地見本帳から皆さんと同じ様にお客さんの顔を想像しながら買う方法が一般的です。 ちなみにこの方法なら電話、もしくはメール一本でも生地を買う事が出来ます。 ですが、バンチブックには織り上がった全ての生地が収まっているわけではありません。 基本的に中長期的に販売出来る物が中心に収まっていますので、希少な素材で生産数の少ない物や、試しに織ったメインラインアップの色違いの物などの数の少ない物などはバンチブックに挟んでもすぐ品切れになりますので、挟む事が出来ません。 そういった希少な物は会社を訪問する事で見させてもらえます。 これが生地の買い付けに行く理由です。

今回は、工場見学もお願いしていたので写真中央の三代目の葛谷社長と写真左側手が葛谷専務が迎えてくれました。 葛利毛織さんは尾州では一番古い毛織物の織元さんで、約９０年以上前の織機を使い毛織物を生産されています。 今回は生地の買い付けがメインですので、詳しい生地とヴィンテージ織機のお話しは、少し後に回しますので買い付けの模様からお話を進めましょう。

こちらはストックルームと言うより、どちらかと言えば社長のコレクションルームですね。 本ストックルームは別棟にあり、ここは社長自らがおすすめしたい生地が集められています。 社長のコレクションですのでシーズンも素材もバラバラで一見キレイに整理整頓されている感じは少し・・・。 ですが、こちらから素材の要望をすれば、社長にはどこにどんな物を置いているか一発で分かり、素材の提案をしてくれます！

今回は、葛利毛織さんらしさが存分に味わえるクラシカルな柄ゆきの物を要望して、見せて頂く事にします。 パッと見て気になる物や社長おすすめの生地をピックアップして細かく見せてもらいましょう。

気に入った物が何点か決まると、社長秘蔵のマル秘ノートからその生地を生産した時の目付(１メートルに含まれるウールの重さ）やクオリティー（糸の細さ、糸の本数、撚りの状態など）、を確認します。 葛利毛織さんでは織った時の詳細なデーターも残されていますので、昔のアーカイブデータから復刻されたり、当時の織りをオマージュした現代版の織物など温故知新を地でいく感じが多くのファンに支持される理由ではないでしょうか。

その後で事務所に残りの残メートルを確認して、私達が買い付ける量や、雰囲気で、お値段を調整してくれます。 今回は、葛利毛織さんと言えばの大道フランネル生地で、なおかつバンチ掲載されていない希少なコレクションや目付のしっかり付いた壮麗な礼服地などココでしか手に入らない物を選ばせてもらいました。 お値段も交渉の末。

葛利社長から 「今回、お二人でわざわざ遠方から足を運ん来て頂いて、しっかりと生地の事も勉強してくれたみたいやから、負けとくわ！」 と温かいお気持ちのお言葉が。 いい物も沢山見せて頂いて、お値段の勉強もして頂いて、こう言って頂けるのはありがたいです。 ロードハウスでは買い付けてきた現品生地で、勉強して頂いた物は勉強して頂いた気持ちで販売しております。 通常では流通してない長年の経験で得たプロの目線で選んだ希少なコレクションを中心に集めております。 是非、一番にロードハウスの店頭現品コレクションをご覧頂ければと思います。 ※どの品も店頭とストックのみの限定品になりますので数に限りがございます。 ※２パンツスーツや特殊デザインなど生地の要尺の都合上オーダー頂けないものもございます。 詳しくは店頭でご相談下さい。

作り手の気持ちが少しでも多く伝わる様、生地の製造段階もしっかりとお伝えしたいと思います。